「郵便バーコード」という言葉に聞き覚えがある方はいるでしょうか? 名前だけ聞くと、<郵便物に必ず印刷されているバーコードかな?>と思われる方もいるかもしれません。これは半分当たっていますが、半分はずれています。何だかはぐらかしのようですが、<郵便物に印刷されている>のはマルですが、<必ず印刷されている>がバツなのです。つまり、郵便バーコードは郵便物に印刷されていることもあるがされていないこともある、となります。だからJANコードのような、身のまわりの商品を見渡せばほぼほぼどこにでも印刷・貼付されているようなバーコードと違い、見覚え聞き覚えのない人もいるわけです。
本稿では、そんなちょっと謎めいた郵便バーコードの概略・正しい呼称・見た目・注意点などについてふれていきます。
まずおさえておきたいのは、「郵便バーコード」というバーコードが存在するわけではない、という点です。「郵便バーコード」は、「カスタマバーコード」「局内バーコード」「IDバーコード」の総称です。
このうち、「局内バーコード」は郵便物に書かれた宛先住所情報を郵便局の区分機という機械で読み取って、特殊なインクで印字したものです。「IDバーコード」は、一つ一つの郵便物にユニークIDを割り振って、これまた特殊なインクで印字したものです。以後の処理はこのバーコードを読み取って行われます。手書きの住所を機械が何度も何度も読み取るというわけではないのですね。
肝は、この「局内バーコード」「IDバーコード」は透明またはごく淡い色の特殊なインクで印字されていて、肉眼では見えない、ということです(紫外線を当てると発光します)。
「局内バーコード」「IDバーコード」はあくまで郵便局が印刷するもので、私達送り主が作り印刷するものではありません。読み取るのも郵便局の区分機が行うので、我々の出る幕はありません。
況して上述のとおり透明で見えないものなので、郵便を利用する側からすると「局内バーコード」「IDバーコード」は存在感がありません。あるけど目立たない、というより、実質的にないも同然といったほうが正しい、という感じでしょうか。
一方、「カスタマバーコード」は違います。これは送り主が自分で印字して投函するものです。透明でもありません。透明では正しく印刷されているかの目視確認ができませんからね。
そんな「カスタマバーコード」に何の情報をバーコード化するのか、というと、実は、「局内バーコード」と同じです。下記の三種の情報がコード化されています。
・郵便番号情報
・住所表示番号情報(丁目・番・号・番地等)
・棟室番号等情報
ここで、何故「局内バーコード」「カスタマバーコード」は内容が同じなのかという疑問が起きてきます。
結論からいうと、送り主が「カスタマバーコード」に宛先の住所情報を入れて印刷しておいてくれるなら、郵便局としては、送り主が書いた宛先住所情報を区分機で読み取って「局内バーコード」化するというプロセスが不要になるので、効率が大幅向上するのです。特に手書きだと住所読取の際に誤読が発生する可能性もあるので、最初からバーコードを読み取るほうがいいのです。
もちろんこれをいきなり全送り主に義務化するわけにはさすがにいきません。そこで、“カスタマバーコードを自前で印刷した上で郵送物を持ち込んでくれれば、郵便料金を割引サービスしますよ” としたのです。
これが、「カスタマバーコード」がすべての郵便物に印刷されているわけではない理由です。割引サービスを適用してもらいたい人(仕事でDMを大量に送る必要がある人など)は「カスタマバーコード」を利用しますし、必要ないな、面倒だな、どうしたらいいか解らないな、という人は、正規の郵便料金を払えばいいわけです。
どの郵便物を見ても「カスタマバーコード」が印刷されているという状況ではないので、いきおい、「カスタマバーコード」に見覚えがある人も少なくなってしまいます。これが「カスタマバーコード」の認知度が低い理由でもあります。
ちなみに弊社・株式会社メディアシークのカスタマバーコードを作ってみました。
どうですか? こういう形状のバーコードに見覚えはありましたか?
※割引適用の条件や率については日本郵便株式会社の公式サイトに載っています。必ず最新の情報をご自身で確認してください。
https://www.post.japanpost.jp/zipcode/zipmanual/p30.html
最後に一つ、気をつけたほうがいい点を。
上記のとおり、「カスタマバーコード」には宛先の住所情報が、集合住宅の部屋番号なども含む形で埋め込まれています。
受け取ったDMの宛先面をスマホカメラで撮ってSNSに投稿する際に、住所・氏名部分だけを隠して安心していると、「カスタマバーコード」からあなたの住所がバレてしまう危険性があります!
「カスタマバーコード」もちゃんと隠しておくよう、念には念を入れて気をつけてくださいね。
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